澄暖(すのん)の家

澄んだ空気と、やわらかな温もりに包まれる暮らし

京都市左京区下鴨にコンパクトな外観からは想像できないほど、室内はゆったりとした空間が広がっています。 大切にしたのは、家中に新鮮な空気が流れ、太陽の光と熱を素直に受け入れること。機械の力には頼り過ぎるのではなく、長く住むために設備の更新コストや光熱費を抑えた居心地の良いお家を目指し、既製観念にとらわれない実験的なことにもトライしました。

【こだわりのポイント】

太陽と共に暮らす(パッシブハウスの手法): しっかりと断熱・気密を行うことで、冬は太陽の熱を逃さず、夏は涼しさをキープします。
賢い換気システム(ハイブリッド換気): 動力を使わない「パッシブ換気」と、人の在室に合わせて無駄なく動く「デマンド換気」を組み合わせ、常に新鮮な空気が流れます。
メンテナンス性の高い暖房: 床材に埋め込むのではなく、交換が容易な「床下チューブ暖房」を採用。将来の設備更新も低コストで安心です。
無垢の木の温もり: 自然素材をふんだんに使い、素足で過ごしたくなる心地よさを実現しました。

【お施主様の声】 「帰ってきた瞬間からストレスがない家です」

玄関を開けた時のあの“ヒヤッ”や“ムワッ”がなくなっただけで、こんなに暮らしが変わるんだと実感しています。
エアコンを強運転したり、室温が落ち着くまで我慢したり… そういった小さなストレスがすべてなくなりました。
温水暖房は音も風もなく、気づけば家全体が落ち着いた温度に保たれています。

無垢の木のやわらかな香りと空気感、そして床のやさしい温度もすごく気に入っています。
派手さはないけれど、静かに整っていく心地よさがあります。

家づくりでは、女性設計士さん・女性施工管理者さんと一緒に、既成概念にとらわれず「新しいこと」にも挑戦しました。
見学に行ったり勉強したり、打ち合わせそのものがとても楽しくて、気づけば「チームで育てた家」になっていました。

これからも澄暖(すのん)の家を丁寧に育てながら、つくり手のみなさんと良い関係を続けていけたらと思います。

太陽の光を思う存分採り入れた空間。南側大開口はトリプルガラスでありながら日射も最大限取り込める世界最高峰木製窓、“佐藤の窓“。タテにもヨコにもゆったりした空間。実際これだけ大きな窓があっても窓の表面温度が冬暖かく、室温が一般的な同じ温度としても体感が全く違い本当に心地良いのです。

目に優しい洗い出しの土間とぬくもりのある無垢の杉板の床が落ち着きます。階段の蹴込のスリットは実は階段下の機械に頼らない空調スペースからの空気の行き来に使っています。

南側隣地の目線からもプライバシーは守りつつ、半屋外の中間領域と繋がったLDK。

デッキと木製パーゴラに日除けのターフを付けています。日射遮蔽もできるだけ機械に頼らない、手の届く1階はよしずをたてます。

キャットウォークからの眺めです。大きな吹き抜けでありながら緻密な構造ブロック体を考え耐震計算をしっかりと行なっています。

吹抜の勾配天井の杉の羽目板も味わいがあります。

すのこひとつひとつに対しても熟練の大工さんの技が光ります。

毎朝の洗顔が楽しくなる綺麗なモザイクタイルと機能性を兼ね備えた造作洗面化粧台。シンプルでいて、水栓の根本も水浸しにならない、ニッチ周りにもたくさんのコンセント(最新の家電やウエアラブル達にも十分な対応ができるよう)綿密な打ち合わせを行っています。

外観は杉板にウッドロングエコ仕上×ガルバリウム鋼板の落ち着きのある佇まいとしました。

床下のコンクリートスラブの上にチューブ温水暖房。本来これはコンクリート床などに埋め込まれるものを敢えてメンテナンスのためむき出しに。将来簡単に取り替えができます。この暖房は何と言っても音が出ない、風も出ない。理想的な暖房です。

階段下は動力を使わない空調室として機能。冬外部からの冷たい新鮮空気をうまくここで暖かい空気と混ぜていきます。家中の空気をこの階段下スリットからやり取りします。機能と美しさを兼ね備えます。パッシブ換気のハイブリッドです。

真冬であっても心身ともに暖かい木の優しい足ざわりの良い空間。

建築データ・住宅性能

竣工年月 2025年2月
所在地 京都市左京区
用途地域 第一種低層住居専用地域
建ぺい率/容積率 50%/80%
敷地面積 218.06 m2 (65.96坪)
延床面積 119.09 m2 (36.02坪)
構造・階数 木造在来 2階建
許容応力度計算による耐震等級 等級3(最高等級)
許容応力度計算による耐風等級 等級2(最高等級)
UA値(断熱性能の指標) 0.21 W/m2 K
Q値(断熱性能の指標) 1.03 W/m2 K
断熱等級 等級7
C値(気密性能の指標) 0.09 cm2 /m2
ηAH値 / ηAC値 1.2 W/(W/m2) / 1.3 W/(W/m2)
年間暖房負荷 17 kWh/m2 ・年
年間冷房負荷 28 kWh/m2 ・年
総一次エネルギー消費
自家発電 考慮前/考慮後
86 kWh/m2 / 14 kWh/m2
備考 パッシブ換気+デマンド換気、太陽光、佐藤の窓、床下チューブ暖房 ガス